1985年のゴルバチョフの書記長就任に始まるペレストロイカとグラスノスチ(情報公開)を契機として、1991年12月までに、15共和国、2.9億人からなるソ連という巨大な国家が解体していく政治過程を描き出す。15の共和国のみならず、下位の単位である自治共和国やのちに未承認国家となるような地域の情勢にも目を配り、ソ連中央や各共和国トップの発言や動き、知識人や報道の様子などを重層的に生き生きと記述することで、なぜ解体が不可避になっていったのか、しかしそれにもかかわらず、共和国間の暴力が最低限に収まり、あっけなく最期を迎えることになったのかを3巻約2400頁にわたって詳細かつ立体的に提示する。
【写真は共に塩川さんご提供の1991年8月クーデタ当時の写真】
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【ゲスト:塩川伸明 プロフィール】
専門はソ連及びロシアを中心とした旧ソ連地域の歴史と比較政治。 主な著書に、『ソヴェト社会政策史研究〜ネップ・スターリン時代・ペレストロイカ』(東京大学出版会、1991年)、『現存した社会主義〜リヴァイアサンの素顔』(勁草書房、1999年)、『多民族国家ソ連の興亡』(計3巻、岩波書店、2004-2007年)、『民族とネイション〜ナショナリズムという難問』(岩波新書、2008年)、『歴史の中のロシア革命とソ連』(有志舎、2020年)
【インタビュアー:鶴見太郎 プロフィール】
東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻准教授・博士(学術) 専門は、歴史社会学、ロシア・ユダヤ人、イスラエル/パレスチナ、エスニシティ・ナショナリズム。主な著書:『ロシア・シオニズムの想像力:ユダヤ人・帝国・パレスチナ』(東京大学出版会、2012年)、『イスラエルの起源:ロシア・ユダヤ人がつくった国』(講談社、2020年)