今回は2024年にころからより出版された『〈負の遺産〉を架け橋に〜文化財から問う日本社会と韓国・朝鮮』の共著者のお一人である長澤裕子さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。
【訂正(2024年11月3日)】インタヴューの中で「海外に搬出された朝鮮半島由来の<7割>が日本にある」との発言がありますが<およそ半分>の誤りです。
【著作概要】共著者のそれぞれの研究と東京大学韓国学研究センターによる講義をもとに、韓国・朝鮮から日本へもたされた文化財を切り口に近現代史の関係を問い直す。
「略奪文化財」とも称され、〈負の遺産〉とされてきた朝鮮半島由来の文化財は、ときに紛争の種として疎まれてきた。その経緯を示しつつ、〈負の遺産〉こそが国家間対立を克服する契機を生みだし、市民レベルでの交流によって「架け橋」になりうることを提示する。
具体的には、下記の項目について、歴史学・外交史の側面から解説している。文化財の定義、国外所在韓国文化財のおよそ45%を占める日本所在文化財と過去清算、植民統治期の文化政治、略奪文化財をめぐる日韓間の返還問題、日韓国交正常化交渉と文化財協定、日朝国交正常化交渉、対馬の盗難仏像事件と韓国の大法院(最高裁)判決、韓国文化財法の変遷、台湾の近代化遺産、ドイツ人宣教師の活動、東アジア文化共同体ほか。
※著作概要の一部を加筆・修正いたしました(2024年11月3日)
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【ゲスト:長澤裕子 プロフィール】
専門は国際政治・日米韓外交史。高麗大学大学院政治外交学科終了、博士(政治学)。元東京大学大学院総合文化研究科特任准教授。現在、早稲田大学国際和解学研究所・招聘研究員。論文に「金日成唯一支配体制期の学術定期刊行物と「1965年体制」批判」(中戸祐夫・森類臣『北朝鮮の対外関係』晃洋書房、2022年)など。好きな文化財は、開城の恭愍王陵。見たい文化財は、徳源修道院の建物(現在は元山農業総合大学)。残したい文化財は、古代の文化遺蹟、朝鮮王家の神道碑。
【インタビュアー:松田ヒロ子 プロフィール】
ブックラウンジアカデミア事務局・神戸学院大学専任教員 経歴の詳細→https://researchmap.jp/hirokomatsuda