第80回 山口祐香さんインタビュー『「発見」された朝鮮通信使〜在日朝鮮人歴史家・辛基秀の歴史実践と戦後日本』

法律文化社 2024年



今回は2024年に法律文化社より出版された『「発見」された朝鮮通信使〜在日朝鮮人歴史家・辛基秀の歴史実践と戦後日本』の著者である山口祐香さんにお話を伺いました。インタビュアーは韓光勲さんです。

【著作概要】近世日本と朝鮮王朝の外交・交流関係を担いながらも半ば忘れられていた朝鮮通信使は、どのように広く知られるようになり、ユネスコ「世界の記憶」へと登録されるに至ったのか。本書では、在日朝鮮人映像作家・民族運動家であり通信使研究家でもあった辛基秀の実践を軸に、様々なマイノリティと連帯する市民運動が隆盛した1970年代以降の日本において、民族差別克服と「日韓友好」の象徴として朝鮮通信使が「発見」される過程を描く。更に、本書の射程は、辛基秀らと関わりを持った多くの日本人市民も含み、過去の歴史を通じて戦後日本社会の人々がいかに連帯や交流の可能性を模索し、ローカルな実践へと繋げていったかを取り上げている。


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【ゲスト:山口祐香 プロフィール】

1993年佐賀県生まれ。九州大学大学院地球社会統合科学府博士課程修了、博士(学術)。専門は歴史社会学、東アジア地域研究、メディア研究。日本学術振興会特別研究員(DC1)、九州大学アジア・オセアニア研究教育機構学術研究員、ソウル大学日本学研究所客員研究員などを経て、現在、日本学術振興会特別研究員PDおよび神戸大学国際協力研究科特命助教。主な論文に「歴史実践としての朝鮮通信使関連文化事業〜韓国側の取り組みを中心に」(『インターカルチュラル』第17号 2019年)、「1970-80年代日本の市民運動史における映画『江戸時代の朝鮮通信使』と上映運動」(『コリアン・スタディーズ』第10号 2022年)、韓国語論文「生活者を見る視角〜辛基秀と『季刊三千里』」(翰林大学校日本学研究所編『内破する国民国家、架橋する東アジア』學古房 2022年)など。近年は芸術実践を通じた多文化共生に関する研究にも関心を広げている。


【インタビュアー:韓光勲 プロフィール】

⁠⁠1992年大阪市生まれ。在日韓国人3世。2019年 大阪大学大学院国際公共政策研究科博士前期課程修了。修士(国際公共政策)。2019年4月から2022年7月まで毎日新聞記者として働く。2023年3月から約1年間、韓国で留学生活を送った。現在、大阪公立大学大学院文学研究科博士後期課程に在籍。日本学術振興会特別研究員(DC1)。専門は社会学、朝鮮半島地域研究。2019年 大阪大学大学院国際公共政策研究科優秀論文賞受賞。2020年 スマートニュースアワード2020報道部門ベストコンテンツ賞受賞。主要業績として “The Failed Plan: South Korea’s Pursuit of Nuclear Weapons and the U.S. Nonproliferation Policy in the 1970s.” International Public Policy Studies 27(2), 2023、「歴史家・姜徳相の生涯と学問〜在日史学研究序説」『在日朝鮮人史研究』第53号(2023)、飛田雄一・韓光勲「【インタビュー】飛田雄一さん 歴史を心に刻み、石に刻む 〜神戸から日本の植民地主義を問い、朝鮮人の被害を記憶する」『社会運動史研究』第5号(2023)。