第76回 林大地さんインタビュー『世界への信頼と希望、そして愛〜アーレント「活動的生」から考える』

みすず書房 2023年



今回は2023年にみすず書房より出版された『世界への信頼と希望、そして愛〜アーレント「活動的生」から考える』の著者である林大地さんにお話を伺いました。インタビュアーは二井彬緒さんです。

【著作概要】(みすず書房HPより引用)〈この世界に信頼と希望、そして愛を抱いてもよいのだということ――アーレントが『活動的生』を通じて私たちに伝えようとしたのは、このあまりにも素朴な、しかしどこまでも力強い、たったひとつのメッセージである。全体主義の時代を生きたアーレントこそ、まさにこうしたメッセージを切に求める者だったのではないか。否定されるべきものとして世界が眼前に現われる状況にあって、それでもなお、世界を否定し去ることができなかったアーレントこそ、まさにこうしたメッセージを誰よりも必要としていたのではないか〉
ここに鮮やかで瑞々しいハンナ・アーレント論が誕生した。26歳の著者は、アーレントの主著のひとつ『活動的生』(『人間の条件』ドイツ語版)を、「世界」概念を主軸として、「労働」「制作」「行為」「始まり」「出生」などのキーワードともども、「死」「可死性」「不死性」「記憶」「忘却」「過去」「痕跡」といった一連の視座から読み解き、アーレントの著作全体に連なる核心に近づいていく。膨大な注の書きぶりも併せ、ユニークで開かれた本書は、アーレントの思想をひとつのレンズとして、この世界を新たな目で眺めることをめざした試論=エッセイとなっている。


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【ゲスト:林大地 プロフィール】

京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程二年。専攻は20世紀ドイツ思想史。趣味は古本屋めぐり。著書『世界への信頼と希望、そして愛〜アーレント「活動的生」から考える』(みすず書房、2023)、主な論文に「世界への気遣いとしての活動的生〜ハンナ・アーレント『活動的生』における活動の場所指定の重要性」(『社会システム研究』第25巻、2022)など。京都大学生協発行の書評誌『綴葉』の元編集長。現在も同誌の編集委員として、毎月書評活動を行なっている。


【インタビュアー:二井彬緒 プロフィール】

東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム助教。専門は社会思想史・政治思想、ハンナ・アーレント研究。関心はイスラエル・パレスチナ紛争、ユダヤ人問題、難民問題、場所論。⁠⁠https://researchmap.jp/akio-futai21