今回は2023年にかたばみ書房より出版された『芸術のわるさ〜コピー、パロディ、キッチュ、悪』の著者である成相肇さんにお話を伺いました。インタビュアーは筒井宏樹さんです。
【著作概要】1950年代から80年代に花ひらいた雑誌、マンガ、広告、テレビ等の複製文化は、いかに美術界を魅了し、かき乱したか。パロディ裁判、ディスカバー・ジャパン論争、赤瀬川原平、岡本太郎、植田正治、いわさきちひろ、キッチュの紹介者・石子順造の思想、そして神農の教え。
絵本、写真、前衛美術から文化人類学、医学にまで首をつっこみ、2次的で取るに足りないとされた「非芸術」を語ることで、硬化した「芸術」の境界をゆるがす、戦後日本の複製文化論。本邦初のパロディ辞典、石子順造辞典を付す。著作権をめぐる最重要判例であるパロディ裁判判決に果敢に挑んだ「二重の声を聞け」は、表現の自由が問われる今、法曹界での議論が待たれる。
軽妙な口上から論文まで、様々な語り口を収めた本書は、40代の現役学芸員の単著という意味でも大変めずらしい、型破りな人文書であり、新たな批評の書でもある。
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【ゲスト:成相肇 プロフィール】
1979年島根県生まれ。東京国立近代美術館主任研究員。一橋大学商学部卒業、一橋大学大学院言語社会研究科修了。府中市美術館学芸員、東京ステーションギャラリー学芸員を経て2021年より現職。「石子順造的世界〜美術発・マンガ経由・キッチュ行」(第24回倫雅美術奨励賞)、「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 『遠く』へ行きたい」、「パロディ、二重の声〜日本の1970年代前後左右」など美術と雑種的な複製文化を混交させる企画展を手がけてきた。
【インタビュアー:筒井宏樹 プロフィール】
1978年愛知県生まれ。鳥取大学准教授。愛知県立芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。専門は現代美術史。編著書に 『スペース・プラン〜鳥取の前衛芸術家集団1968-1977』(アートダイバー)、『コンテンポラリー・アート・セオリー』(イオスアートブックス)ほか。