今回は2022年に明石書店より出版された『和解をめぐる市民運動の取り組み〜その意義と課題』の編者である外村大さんにお話を伺いました。インタビュアーは木下直子さんです。
【著作概要】戦争・植民地支配、内乱等の過程で発生した人権被害はしばしば、被害それ自体を語ることもできないままとなる。その史実を掘り起こし、被害者の尊厳回復、関係者間の葛藤を解きほぐしていくうえで、重要な役割を果たすのは市民の自発的な活動である。日本と近隣諸国、あるいはそれぞれの国内で起きた様々な事例についての市民運動を事例に、歴史学・社会学・政治学の研究者がそれを跡付けるとともに、分析を加えている。そこからは、国家レベルでの外交的解決や司法判断、行政施策では生み出さしえない、市民レベルの共感や相互理解を含む和解の可能性を見出すことができる。と同時に、それを実現する条件が何であるのかや現実に立ちはだかる障害や限界についても考えさせることになっている。
関連カテゴリ:
【ゲスト:外村大 プロフィール】
1966年、北海道で生まれる。1984年早稲田大学入学、学部卒業後、同大学大学院文学研究科史学(日本史)専攻で学ぶ。その後、早稲田大学社会科学研究所助手、韓国高麗大学外国人研究員、一橋大学非常勤講師などを経て、2007年より東京大学大学院総合文化研究科准教授、2015年より同教授。専門は日本近現代史、日本と朝鮮との関係についての研究。著書に、『在日朝鮮人社会の歴史学的研究〜形成・構造・変容』(緑蔭書房、2004年)、『朝鮮人強制連行』(岩波書店、2012年)。
【インタビュアー:木下直子 プロフィール】
山口県生まれ。2012年、九州大学大学院比較社会文化学府博士後期課程単位修得退学。2013年、博士(比較社会文化)。2016〜2018年度、日本学術振興会特別研究員PD(大阪大学)。2013年から現在まで、特定非営利活動法人社会理論・動態研究所研究員。専門は社会学、ジェンダー研究。著書に『「慰安婦」問題の言説空間〜日本人「慰安婦」の不可視化と現前』(2017年、勉誠出版)。