今回は2022年に春風社より出版された『身体を彫る、世界を印す〜イレズミ・タトゥーの人類学』の著者である山本芳美さんにお話を伺いました。インタビュアーは山本和行さんです。
【著作概要】文化人類学、芸術学、医学などの観点から、総勢11名の専門家が各地で調査・経験したイレズミ・タトゥーについて論じた本。書中で取り上げているのは、マルケサス諸島のテ・パトゥ・ティキ/ニュージーランド・マオリのタ・モコ/タイのサックヤン/カメルーン・狩猟採集民バカのテレ/インド・バイガのイレズミ/台湾原住民のイレズミ/日本土産としてのイレズミ/沖縄のハジチ/千葉のヒップホップファッション・ストア店員のスミ/消えるタトゥー、ジャグア/医学から見たイレズミ/アイヌのシヌイェ。イレズミに興味はあるがどう調べたらよいかわからない初学者に向けて調べ方や研究方法を紹介したコラム付き。
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【ゲスト:山本芳美 プロフィール】
本作品の3名の編著者の一人。1968年生まれ。都留文科大学教授。文化人類学・化粧文化学専攻。跡見学園女子大学で「身体変工」の卒論を書いたのち、明治大学大学院政治経済学研究科博士前期課程に進学する。1992年から98年にかけて、沖縄県内の各島において女性のイレズミ(針突・ハジチ)の調査をおこなう。95年頃から台湾原住民族についての調査・研究を開始し、2000年に近代日本のイレズミに対する法的規制についての学位論文を昭和女子大学大学院に提出した(学術博士・論文)。2000年から2003年にかけて台湾・中央研究院民族学研究所に訪問学員として留学。2003年4月より都留文科大学文学部に専任講師として着任する。現在は、19世紀後半より世界各地で活動した日本人彫師、沖縄戦後タトゥー史、台湾原住民族のイレズミと文化復興についての調査と研究をおこなっている。主著に『イレズミの世界』(2005年、河出書房新社)、『イレズミと日本人』(2016年、平凡社)ほか。
【インタビュアー:山本和行 プロフィール】
天理大学在学中に台湾へ留学し、台湾の友人たちと交流を深めるなかで日本と台湾の歴史的な接点に興味を持ち、旅行会社などに就職後、あらためて大学時代の興味関心を深めたいと思い、京都大学大学院教育学研究科に進学し、日本による台湾の植民地統治、およびそこで形成・展開される教育制度の形成・展開過程を研究テーマに選びました。
BLAでインタビューしていただいた本を出版してからは、植民地期の学校教員の歴史的位置や、教員を取りまく社会的状況、あるいは現代的な課題として、今の台湾の学校に残されている植民地統治期の学校関連資料の所在などに関心を持っています。
また、教職課程の教員として天理大学に職を得てからは、教員養成をめぐる歴史的・社会的な課題や、歴史的な視点から考える大学教育の方向性、あるいはICTを活用した授業方法の検討などにも関心を持つようになりました。