今回は2022年に新曜社より出版された『社会運動史研究』第4号『越境と連帯』の編著者である大野光明さんにお話を伺いました。インタビュアーは櫻井すみれさんです。
【著作概要】苛烈な戦争や継続する植民地主義に抗議の声をあげ、国家・民族・人種・ジェンダーなどの分断に向きあい、連帯を目指した人びとがいた。本書では、「戦後」=冷戦期の日本におけるベトナム反戦運動、英文インディペンデント・メディア『AMPO』、反アパルトヘイト運動、京都・ウトロにおける在日コリアンの居住権をめぐる運動、入管闘争、日本からドイツへと渡った女性たちの運動などに関する論考とインタビューを多数収録。
社会運動アーカイブズの一つ「アナキズム文献センター」へのインタビュー記録や魅力的な運動史書籍の書評も掲載。「戦後」日本の平和と民主主義、経済的な豊かさや成長がさまざまな暴力や差別、植民地主義の忘却と密接不可分であることが、これらの運動研究から明らかにされている。昨今、日本の排外主義やナショナリズムが問題となり、内向きで閉鎖的な社会のありようが指摘され、コロナ禍ではさまざまな分断と壁がよりいっそう顕在化するなかにあって、越境と連帯の運動史から現在をとらえなおすことを目指す。『社会運動史研究』のバックナンバーについてはウェブサイトを参照。
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【ゲスト:大野光明 プロフィール】
1979年、千葉県生まれ。2012年、立命館大学先端総合学術研究科博士課程修了、博士(学術)。現在、滋賀県立大学人間文化学部教員。専門は歴史社会学、社会運動論。著書に『沖縄闘争の時代 1960/1970――分断を乗り越える思想と実践』(人文書院、2014年)、共著に、『差異の繋争点』(ハーベスト社、2012年)、『燃ゆる海峡』(インパクト出版会、2013年)、『戦後史再考』(平凡社、2014年)、『シリーズ戦争と社会1 「戦争と社会」という問い』(岩波書店、2021年)など。
【インタビュアー:櫻井すみれ プロフィール】
1990年、神奈川県生まれ。韓国外国語大学中国語学部卒業(中国文学専攻)。現在、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程。共著に、『내파하는 국민국가 가교하는 동아시아(内破する国民国家、架橋する東アジア)』(学古房、2022年・韓国語)