今回は2020年に作品社より『戦後日本、記憶の力学〜「継承という断絶」と無難さの政治学』を出版された福間良明さんをゲストにお迎えしました。インタビュアーは津田壮章さんです。
【著作概要】
毎年夏になると、「戦争の記憶」の継承が叫ばれる。だが、そこでは「継承の欲望」は語ってはいても、そこ自体に内在する「風化」「断絶」が見落とされてはいないだろうか。戦争映画や戦跡観光と いったポピュラー文化のなかで、調和的な「継承」が麗しく語られる一方、軍内部の組織病理や暴力に着目されることは、総じて少ない。体験や記憶の「継承」の美名に浸ること自体が、じつは見るべきものから目を背け、「風化」「断絶」を進行させているのではないか。本書はこうした観点から、戦跡・モニュメント・新聞・映画・小説・手記などを見渡し、さまざまなメディアをとおして、戦争記憶の「継承という断絶」が生み出される社会背景やメカニズムを解明する。
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【ゲスト:福間良明 プロフィール】
1969年、熊本市生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専攻は歴史社会学・メディア史。出版社勤務、香川大学経済学部准教授を経て、現在、立命館大学産業社会学部教授。著書に『「戦争体験」の戦後史――世代・教養・イデオロギー』(中公新書)、『「戦跡」の戦後史――せめぎあう遺構とモニュメント』(岩波現代全書)、『「働く青年」と教養の戦後史――「人生雑誌」と読者のゆくえ』(筑摩選書、サントリー学芸賞受賞)、『「勤労青年」の教養文化史』(岩波新書)など。
【インタビュアー:津田壮章 プロフィール】
1988年、京都府生まれ。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程院生、日本学術振興会特別研究員DC。主論文に「戦後日本の政軍関係と自衛隊出身政治家の消長――隊友会機関紙『隊友』の言説分析を中心に」(『戦争社会学研究』第5巻)、「自由な校風という教育実践――京都府立鴨沂高等学校の学校行事「仰げば尊し」から」(『人間・環境学』第29巻)など。