BLA36回目のゲストは2021年に岩波書店より出版された『少女中国〜書かれた女学生と書く女学生の百年』の著者、濱田麻矢さんです。インタビュアーは田村容子さんです。
【著作概要】
国家増強のため、青年を重視しはじめた近代中国。「中国少年」や「新青年」は新しい中国を描くために欠かせない合言葉となり、1920年代以降、青年の成長を描く中国式のビルドゥングスロマンが盛んに書かれてゆくことになった。しかしこれらの「少年」や「青年」とは潜在的に男性を指していた。少女たちはある時には有為の人材となるべく叱咤激励され、またある時には家に戻って家族を後方支援するよう要請されたのである。
近代以降に開始された女子教育によって、少女たちは生家を離れ、自分で次の生き方を決めようと模索する時間を持てることになった。本書はさまざまな文学テクストに沿いながら、生家を離れた娘たちがどのように自分の着地点を見つけようとしたのか、また彼女たちの奮闘を男性作家がどのように眺めたのかについて、五四運動期直前から天安門事件後までの百年をたどりながら検証付けてゆく。
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【ゲスト:濱田麻矢 プロフィール】
1969年、兵庫県生まれ。神戸大学大学院人文学研究科教授。京都大学大学院博士後期課程中途退学。著書に『漂泊の叙事〜一九四〇年代東アジアにおける分裂と接触』(共編、勉誠出版)、『ゆれるおっぱい、ふくらむおっぱい〜乳房の図像と記憶』(共著、岩波書店)、訳書に『中国が愛を知ったころ〜張愛玲短篇選』(岩波書店)、『覚醒するシスターフッド』(共訳、河出書房新社)等。研究テーマは中国現代文学、特に民国期小説の性別表象に興味を持つ。目下の関心は文学テクストに描かれた「だめんず(不実な男性)」像と産み手としての女性の売買。
【インタビュアー:田村容子 プロフィール】
1975年、愛知県生まれ。北海道大学大学院文学研究院准教授。神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。著書に『男旦(おんながた)とモダンガール 二〇世紀中国における京劇の現代化』(単著、中国文庫)、『中国文学をつまみ食い』(共編著、ミネルヴァ書房)、『ゆれるおっぱい、ふくらむおっぱい〜乳房の図像と記憶』(共著、岩波書店)等。研究テーマは中国演劇・文学。特に演劇における性別表象、プロパガンダ芸術にみられる身体表象に関心を持つ。